多読の凄さ 英語もスペイン語も!大人でもトリリンガルを目指す!

英語

多読って?

本とメガネの写真

このブログのメインテーマである多読について。当記事では大人の語学学習の観点からまとめます。
「多読」は文字通り、外国語で書かれた洋書を大量に読むことです。
多読については語りつくされていますが、アプローチは英語以外の言語でも応用できるので、当記事のタイトルの通り、スペイン語その他英語以外の言語を学習されている方にもお勧めしたい方法です。

リーディングより、スピーキングを上達させたいんだけど…という声が聞こえてきそうですね。
英語(外国語)の本を読むって、何だかハードルが高いと思ってしまう人もいるかもしれません。それに、読み書きより英会話を上達させたいから、オンラインレッスンやスクールに習いに行ったほうがよほど直接的で効率的と思うかもしれません。
それは確かに直接的ではありますが、逆に遠回りかもしれません。週に1時間グループレッスンしに行って、自分が話すのはそのうち10分もないのではないですか?得るものは英語力ではなく、そこで出会う日本人の気の合うお友達。
あるいは安いオンラインレッスンでアジア圏の講師とレッスンして、始めた当初はやる気に溢れたくさんレッスンを取っても、安いが故の怠慢が出てきて次第にレッスンの予約をしなくなり、解約してしまった経験はありませんか?
英会話のレッスンを否定するつもりはありません。しかし、日常的に英語を使わない日本で、週に何時間かの英会話レッスンで、ほんの少し英語に「慣れる」以上の効果が得られるとは言い難いです。

学校教育だけでは足りない!日本人の英語習得までの所要時間

本とコーヒーの写真

「日本人は何年も学校で英語を習ってきたのに話せない」などとよく言われますが、実は日本での学校教育の英語の学習時間は多くなく、むしろ全然足りないのです。
ここで私の愛読書「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方 船津徹著 大和出版」を紹介します。


この本によれば、アメリカ国務省の付属機関FSIの調査にて、英語を母語とする研修生が、日常生活に差し支えないレベルの日本語力を獲得するまでの平均学習時間は2400~2760時間だったそうです。つまり、日本人が同等の英語力を身につけるには、同じく2500時間くらいの学習時間が必要と考えられます。日本人の学校教育(小中高)を通しての英語学習時間は、多い人で約1500時間。学校教育とは別に、プラス1000時間を英語習得に費やす必要があるのです。
そこで、多読です。今後留学する機会はない、忙しい大人たちの唯一の手段です。リーディングだけしたとしても、毎日30分で、プラス1000時間を5年強で達成できます。
ただし、これは英語の本がスラスラ読めるようになってからの5年強です。そのレベルに達するまでの期間には個人差があります。

多読三原則 

英語多読は120年近く前から先人たちに認められてきた学習法。夏目漱石も多読の重要性を説いていました。しかし、多読は一部の上級者にのみ可能と信じる人が多く、なかなか日本では浸透しなかったのを、 SSS英語多読研究会が 非常にやさしい絵本から始め、段階的にレベルを上げ、多種、多様、大量の本を使うと改良しました。 SSS英語多読研究会が掲げる多読三原則は下記の通り。 

第一原則 辞書を引かない  
第二原則 わからないところは飛ばす 
第三原則 つまらなくなったらやめる 

第一原則 辞書を引かない 

辞書の写真

本来の多読では、辞書を引かなくても読める本を選び、単語は多読を進める中で自然に覚えるもの。未知の単語が繰り返し出てくることで、既知の単語になっていくのです。 SSSの定める第一原則は単語帳も作らないことを意味しています。 

私は、洋書を読み始めた当初、逐一辞書で単語を調べていました。Alice’s adventures in the wonderland-Lewis Caroll を読んだときは一体何回単語を調べたかわかりません。さらにノートにわざわざ単語を書き、結構な量になってしまい、あまりの多さに見直して覚える気も失せ、ただの自己満足になりました。児童書だからと甘く見ていましたが、当時の私にはこの本は早すぎたといえます。後々、Alice’s adventures in the wonderland は大人向けのたいていの本より読みにくく、The Old Man and the Sea-Ernest Hemmingwayは、たいていの児童書より読みやすいと聞き、非常に納得しました。  

ただし今時の電子書籍ならワンタッチで意味が検索されますし、紙媒体でも本の面白さを邪魔しない程度の回数なら辞書を引いても負担にならないので、辞書を引くのは何回までと決めるとか、三回同じ未知語が出てきたら引くとか、自分の中でルール決めするとよいと思います。

第二原則 わからないところは飛ばす 

女性がジャンプする写真

第一原則を守れば必然的にわからないところは飛ばすことになりますが、それでも60~80%理解できる本を選ぶべきとしています。日本語の本を読むときも私たちは100%の理解はしていません。個人的には8割以上理解できなければ内容を楽しめない気がしますので、第一原則と同じく、マイルールを設定するとよいと思います。   

第三原則 つまらなくなったらやめる 

ストップとジェスチャーで言っている写真

読書は楽しむもの。今では昔と比べ物にならないほど簡単に洋書が手に入ります。電子書籍も随分一般的になりました。途中で興味が失せても他に読める本はいくらでもあります。 本当に興味が持てなそうであればぜひ次の本に行きましょう。今は読むのをやめても、いつかまたその本を読む気になるかもしれません。 

結局多読は効果あるの?

私の個人的な意見としては、自己紹介でも少し書きましたが、仕事で大量に英文を読み、同時期にプライベートで「チャーリーとチョコレート工場」で有名なロアルド・ダールの本を読み始め、そこから洋書を読むのが苦でなくなり、好きな児童書をメインにどんどん読んでいきました。その後TOEICは900を突破、英検準1級を取得し、いまは試験は受けていませんが、海外のニュースサイトを特に苦労なく読んでいます。個人的には、あまり使う機会のないスピーキングはリーディングによって維持されているという感覚が実感としてあります。多読は本当に効果があるのかという点については、私は大いに効果があると考えます。
留学経験者であればわかると思いますが、留学先では物凄い量の本を読まされます。高いレベルの英語を身につけた人たちは、留学でリスニングの機会が増えたというよりも、大量の英文を読んだことで英語力を上げたというほうが正しいのではないでしょうか。

プロも認める多読の効果

以下、幼児・児童向け英語教材『パルキッズ』シリーズの開発で知られる船津洋氏の文章を引用します。

英語を身につける、つまり英語を訳さずに理解できるようになるための学習法ですが、やはりどう考えてもひとつしか見あたらないのです。そのポイントとは、使い古された言葉ですが、「多読」です。 英語を身につけた人たち全員に共通しているのは、どこかの段階で「多読」をしていることです。逆に、この多読を飛ばしている人は、何年留学しても英語を身につけられていないのです。(中略)そもそも、多読云々以前にいかに私たちが英文を読んでこなかったかに気付かなくてはいけません。中学校の英語の教科書を思い出してください。わずか100ページ程度の教科書で、しかも日本語の解説ばかり、英文の占める割合は三分の一程度でしょう。それを3年間学習しても、わずか100ページ足らずしか英文を読んでいないことになります。
 高校でもしかりです。中学生以上にはもちろん読みますが、お世辞にも多読と呼べるほどの量ではないでしょう。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1108
パルキッズ通信2011年8月号特集『英語がデキル人とデキナイ人』(著)船津洋 ©株式会社 児童英語研究所 

多読はお金がかかる。そこで英検受験 

英語の本がスラスラ読めるようになってからの5年強で英語は習得できるが、そのレベルに達するまでの期間には個人差があるとお伝えしました。 

しかしいざ簡単な本から多読を始めようと決意し、比較的簡単そうな、あるいは興味が持てそうな洋書を適当にネットで見つけて買ってみても、開いてみれば一ページ目からわからない単語だらけ。だからといって子供向けの文字の少ない本を選べばあまり面白くない。なんだかんだで開始早々に挫折してしまう人もいるかもしれません。そんな人に私がおすすめするのは、英検(実用英語技能検定)を受験することです。   

当然ですが、ある程度のインプットがなければリーディングできません。インプットがない状態で多読を始めても、つっかえつっかえ読んでなかなかページが進まず、わからないところがあっても飛ばし読みして大意をつかむどころか、大意さえつかめません。そうならないために、非常にやさしい本から始めるというのが正統派の多読ですが、本を揃えるにはなかなかお金もかかります。子どもと違って大人は論理的に言語を習得することができますので、資格試験の力を借りるのも手だと思うのです。 

国際標準CEFR(セファール) 

アルファベットが並んだ写真

CEFR(セファール)をご存じでしょうか。CEFRとは「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」という、言語の枠や国境を越えて外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準です。下記は簡易的な表です。レベルは各検定が公表しているものです。 

英検 スペイン語検定 DELE試験(スペイン語) CEFR 
  C2 (最上級) C2  
1級 1級 (CEFR換算C1~C2) C1 (上級) C1 
準1級 2級 (CEFR換算B2~C1) B2 (中上級) B2 
2級 3級 B1 (中級) B1 
準2級 4級 A2 (初級) A2 
3級 5級 A1 (入門) A1 

CEFRでB1(中級)程度であれば読める本の幅が広がります。英検なら2級、スペイン語検定なら3級は欲しいところです。英検についていえば、もし現在2級レベルでないなら、下の級の問題集を本屋で見て、自分に合う級から始めてみてください。英検2級は高校で英語の授業を真面目に受けた人なら、少し勉強すれば合格するレベルです。段階的に受験したとして、準2級までなら対策問題集1,2冊で、2級ならプラス単語集1冊くらいで合格するはずです。 

英検の何がいい? 

ステップアップする写真

英検はいわずと知れたメイドインジャパンの試験。級が細かく分かれ、目標設定しやすく、ステップアップしやすいのです。そしてなんといっても国内の対策問題集が豊富。単語集で一気に語彙が増え、リスニングパートと2次面接用のCDを聞きこむことで、また時にシャドーイングして英語のリズムや音のつながりを把握することができます。リズムや音のつながりを理解したほうが多読に進んだ際、読みが早くなります。また、読解パートは点を落としやすい項目ですが、内容はアカデミックで興味深いものが多く、これが楽しくなってきたらリーディングの力はついてきているということです。 

TOEICではダメ? 

TOEIC (L&R) はスコア550をB1レベル、スコア785をB2レベルとしています。しかしこれはあくまで目安。何回か受験すればわかりますが、TOEICはある程度問題慣れすれば高得点を取れる試験です。高得点を取っても、自分の実際のレベルと一致しているかは疑わしいというのが私の考えです。とはいえ私自身TOEIC試験を学生時代何度も受けており、英語力をはかる基準として難しすぎず丁度よく、速読の練習になりました。ただしTOEICの勉強ばかりしていては語彙力は増えません。目標点数を取った後は、ほかの勉強にシフトしていきましょう。 

おわりに

ここまで英検を推してきましたが、多読だけで英語(外国語)の本が「スラスラ読めるレベル」に達することは、書籍代はそれなりにかかるものの、もちろん可能です。中学二年生レベルの英語力があれば多読を段階的に進めて、一日30分の読書で約1年と言われます。 

逆に英検でも、同程度の下地があれば、英検は年3回試験がありますし、1年か、もっと短期間で2級を取得する=一定レベル以上の本を読むことは可能です。自分に合いそうな方法で学習を楽しんでいきましょう。 


私自身、英語多読のすごい効果をもっと早く知っていれば、無駄な時間は使わなかったという後悔があり、この記事を作成しました。正しく多読を続ければ語学習得までに約5年ということですが、長いでしょうか?短いでしょうか?一つ言えるのは、語学の習得は容易ではありません。コツコツ続けたその先には明るい未来が広がっています。時間は作るもの。仕事、家庭のことを少し早く終わらせ、寝る前に一日30分の多読を始めてみてはどうでしょうか。

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